これからお話しする事は、私や友人が実際に体験した事や、聞いた事ばかりです。

私には、霊感はありません。だから、何の前兆もなくそれは起きるのです。

信じるとか信じないとか、ウソとか本当とか、そんな事を論じても意味はありません。

だって現実に起こってしまった事なのですから・・・・。




第五話 : トンネルの中の・・・



トンネルの 中での 奇妙な 体験・・・。 結構、よく 耳に します。

この話は、バイクツーリングに 出かけた先で、知り合った 友人から、聞いた 体験談です。





河口湖・・・東京から 行楽で 行くには、距離的にも 行きやすい 位置に ある。


美保の 実家は、河口湖に あるが、今は 結婚して 東京郊外に 住んでいる。

三日間、夫が 出張したので、その 間だけ 実家に 帰った。


彼女は、最近、試験を 受けて 中型バイクの 免許を 取ったばかり・・・・。

ツーリングには 行きたいが、一人では 心細いし、忙しい夫は、なかなか 時間を取ってくれない。

そこで、彼の 出張中に、実家へ 帰ることで、ツーリング気分に 浸ることに した。

シーズン・オフということもあって、道路は 空いている。行きは、快適な 旅だった。

実家に 滞在中 近辺を バイクで 走ったりもした。


さて、今日は 東京に 戻るという日。家族に 別れを 告げて バイクに 乗った。河口湖インターから 高速に 乗って 東京方面へ・・・、天気は 良好。

「車もいないし、やったネ。」・・・・空いた高速を ひたすら 走る。

時折、ハイスピードの 車や バイクが、ゆっくり 走る 初心者の彼女のバイクを、追い抜かして行く 程度だ。



後 少しで、本線との 合流地点。 その 手前に トンネルが ある。

ここまで来て、彼女は何気なくバックミラーに目をやった。後ろには、車の影はなし。

前にも 車は 見えない。

実家にはよく帰るが、こんなに他の車の気配がしない日もめずらしい。バイクは快音を 響かせながら、トンネルに 入った。



トンネルに 入ると、エンジン音は 壁に 反響して、ますます大きくなった。オレンジ色のライトが、目の 端に 消えていく。

「ひぇ〜。一人っきりだと、寂しいなぁ。」

この トンネルは、そう 長くは ないが、それでも 出口は 見えない。



ちょうど、トンネルの 半分ほどまで 来ただろうか ?

心細さに、バックミラーで、後方から 車が 来ていないか 確認するため、一瞬目を やった。

「うわっ。誰も いない。 やだなぁ。」

そう つぶやいて、前方に 目を 移した その時で ある。


彼女の 顔の すぐ前に、黒人の アメリカ兵の 顔が、のぞきこむ様に 現れた。

「うわぁぁぁ〜。」

キキキキキー・・・・・・、ブレーキを かけたが、間に合う わけがない。それほど、近かったのだ。


バイクは 止まり、振り返る。 次の 瞬間、背筋が 凍り付いた。

誰も いないのだ。 トンネルの 中には、彼女 一人・・・・・。



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彼女には、その後、他の 車に 出会うまでの 記憶が ないそうです。


ただ、後になって 冷静になって 思い出せた事は、彼女を見つめた黒人兵の大きな目。

そして・・・・・その 男の 体を すり抜けたという 事実。


今では、一人で走ることはほとんどせず、もし一人で走ることがあったとしても、トンネルの 手前で、必ず 他の車を 待ってから 一緒に 入るように なったということです。




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