これからお話しする事は、私や友人が実際に体験した事や、聞いた事ばかりです。

私には、霊感はありません。だから、何の前兆もなくそれは起きるのです。

信じるとか信じないとか、ウソとか本当とか、そんな事を論じても意味はありません。

だって現実に起こってしまった事なのですから・・・・。




第十話 : お前にも 見えるのか



動物が、時々、何かの 気配を 感じて 態度が おかしい、そんな 事を 経験した事はありませんか ?

そして、それが 動物だけで なく、自分自身にも 起こると したら・・・・・。




伸子は、いつも 朝方まで 仕事だ。 だから、寝るのは 世間が 起きて 活動を 始める頃に なる。

犬を 一匹 飼っていて、寝る前の 早朝 四時頃、散歩を させるのが 日課に なっている。



夏だと、薄明るく なり始める 頃なのだが、冬では まだ 真っ暗。 そんな 中でも、彼女は 欠かさず 愛犬と 散歩を しているのだった。



今日も、いつもの 様に 仕事を 一段落 させると、寝る前の 散歩の 時間に なった。

  玄関先では、準備している伸子の 気配を 感じて、愛犬・シロ〜が ソワソワしだした。

  犬は、実に 敏感なのだ。

姿を 見せて いなくても、伸子の 発する 音だけで、散歩を 催促 するかの様に クンクン 鳴いている。




もうすぐ 冬。 早朝は、結構 冷えて きている。


玄関を 開け放すと、まず 勢いよく シロ〜が 飛び出した。 散歩コ〜スは いつも 決まっている。 

伸子は、半分 引っ張られる 様にして、それでも 何とか シロ〜を 抑えながら 家の 前の 通りに 出た。 やはり、辺りは 真っ暗。 人影も 全く ない。



散歩の 行程の 半分位で、公園の 側を 通過する。 大体、いつも それは 変わらないのだが、今日は 少し 違っていた。 公園・入り口まで 来た時、突然 シロ〜の 様子が おかしくなったのだ。



いつもなら、この 公園は 犬の 立入禁止なので、中には 入らずに 前を通過するだけだ。

  ところが、今日に 限って シロ〜が 言うことを 聞かない。 伸子を 引っ張って どんどん 中に 入って行こうと するのだ。



伸子は、必死に シロ〜を 静止 しようと した。だが、中型犬とは いえ、シロ〜は 大きめである。

全然、歯が 立たない。 結局、諦めて 少し中を 歩いてやる 事にした。 人影が ないのが 救いだ。 シロ〜は、脇目も 振らず、公園の 中の 草むらに 向かう。




この 公園には、中央に 子供の 遊ぶ 滑り台や、ブランコ・シ〜ソ〜などが ある。

そして、その 周りの フェンスに 近い 場所が、子供の 丈ほどの 草むらに なっている。

役所が 定期的に 草刈りをしてはいるのだが、それでも、すぐに 生えて きて しまい、広い 範囲に 渡って 雑草が 生い茂っているのだ。



シロ〜は、その 生い茂った 雑草の 中に ズンズン 分け入って 行く。



「ねぇ、シロ〜、どうしたの ? もう、帰るわよ。」  引っ張っても、止まろうと しない。



だが・・・・。



丁度、草むらの 中程に 来た時、突然 シロ〜が 立ち止まる。

そこで、伸子は 信じられない モノを 見た。



立ち止まった 伸子の 前に シロ〜。そして、その シロ〜の前の 草むらに 誰かが うずくまっている。 その うずくまっている 人物は、伸子達に 背中を 向けていた。



伸子は、びっくり して 声も 出ない。 まさか、こんな 所に 人が・・・・。

立ち尽くす 伸子に その 人物が ゆっくり 振り返って 言った。



「お前にも、見えるのか。」



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これは、ここでは 女性で 書かれていますが、実は 体験したのは 男性です。


子供の 背丈ほども ある 草むらの 中に うずくまっていたのは、老人だった そうです。


そして、その 老人は、一言 言って、スゥ〜と 消えたと いう事なのですが・・・・。




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