「天才の思いで」




第二十六回:「石森先生へ」


 先生の アトリエの 二階。

たくさんの花。 愛用のペン。 先生の好きだったタバコ。 そして、小さな 白木の 箱・・・・・。

ぼくらは、みんな 泣き出しそうだった。 丈くんが、先生の 最期の時のことを、話してくれた。

「 父は病床の中でも、いつでもマンガのことを考えていました。 元気になったら、これを描きたい、あれも描きたいと・・・・。 でも、それは叶わないことだと、 知ったようです。 ぼくたち家族の、一人一人に言葉を残してくれました。 そして、静かに目を閉じ・・・・泣いていました。」

ぼくは、堪らなかった。 先生が 泣いた。 先生が 泣いた。 それが、堪らなかった。

   ・・・・・先生。

 ぼくが、子どものころ、マンガ家になりたいと思った時から、ずっと憧れていました。 そして、今も変わりなく、憧れつづけています。 先生のペン先から、魔法のように産み出された、たくさんのキャラクターたち。 その、キャラクターたちが演じた、愛と勇気。  ぼくは、忘れません。 そして、なによりも、人間 「 石森章太郎 」を、ぼくは、忘れません。

  ありがとうございました・・・・・先生。

    2000年 1月 28日  石森先生へ

                            山田 ゴロ 




− あとがき −


 長い間、「天才の思い出」を、読んでいただいてありがとうございました。

稚拙な文章で、申し訳ありませんでした。 しかし、ぼくだけの石ノ森先生の記録と、ぼくの先生に対する感謝の気持ちをどうしても残したかったのです。

 これからは、この「天才の思い出」の中に書ききれなかったことや思い出したことなどを書き留めていこうと思っています。

          どうぞ、よろしく。



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