◇9月18日ロータリー館 AM11時〜『マンガの書き方』講演◇

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( 一部、画像は『 工藤裕司さん 』撮影のものをお借りしています )


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 終わりの最後、「タコス現る」

 万博三日目

ぼくたちは大役を果たして、まったくと言っていいほど気が抜けていた。

 朝、8時に起きて、ホテルのレストランに向かった。この日の朝食が、この旅で初めてゆっくりとできた最初で最後の食事だったかな。

 午後にはデジタルマンガ大賞の表彰式が行われるのだが、友人のぴょん丸 ( タコス ) さんがプリント部門で入賞し、授賞式のために名古屋に来る。 今日は、ぴょん丸さん夫婦に会える。

ぴょん丸 ( タコス ) さんの作品はこちらでご覧になれます。

おがた たかはる『マンモちゃんのふしぎなのぞき穴』

 

 食事をしていると、森山女史がやって来た。

「ホテルの出発は10時です。2階の車寄せに集合して下さい。ミツロウさんは、昨夜から体調を 崩したそうで、今日はホテルでチェックアウトまで休んでもらいます。」 と、言うことだった。

ううむ。このハードな毎日。元気でいられるほうが不思議だ。現に、スタッフの何人かがバタバタと倒れている。

 食事の後、まだ時間があったので、ぼくたちは先輩に頼まれていたお土産を買いに、ステーションビルになっている高島屋まで行った。そこで、名古屋名物の「ういろう」と「きしめん」などを買う。

ココアちんは、万博のキャラクター「モリゾー」のポシェットを買った。これが、けっこう可愛らしい。

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 あのキャラクター。ぼくは、最初好きになれなかった。ところが、慣れてくると結構可愛い。デザインはアランジアロンゾという人。この人、「たまごクラブ」「ひよこクラブ」などのキャラクターのデザイナーでもある。とても、ほのぼのとしてていい。

かわいい。

 

 10時に、車寄せに集合。モンキー先生も、ちば先生も、今日は一緒だ。里中先生だけ、なんと朝の7時から会場に行っているそうだ。

前日までのあの秒単位の忙しさと比べて、なんとゆったりとしたことか。車は、会場内の例の迎賓館の前に着いて、そこからロータリー館に入った。

 今日のぼくの仕事は、デジタルマンガ大賞発表展示室に設けられたらくがきコーナーで、子どもたちにパソコンでの色の塗り方などを教えるだけのもの。時間的な拘束もほとんどなく、1時間ほどでいいと言うことだった。

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ところが・・・・用意されたパソコンはわずかに五台。そこへ、子どもが群がる。そして、取り合い。 独占する子ども。傍に着きそう親も、自分の子どものことしか考えていない。当然ぼくたちは、ゲームセンターのアルバイトのごとく扱われ、

「ねえっ、ちょっと。これ、動かないんだけど・・・。」

「こっち来てよ。どうやったら、色が塗れるのよ。」 と、引っ張り回された。

 パソコンはすべてG5。すべてにワコムのシンテック21UXが着いている。1台36.7万円のものである。

 ・・・と、後ろで、ドンドンドンっと壁を叩く音がする。振り向くと、子どもがペンでシンテックの画面を力一杯突き刺すように叩きつけている。これではたまらない。ところが、直ぐ傍に親が立ってそれを見ているのだ。止めようと近づくと、それに気が付いたのかピタッと止めた。

ほかにも、1時間以上3人兄弟が独占して、後ろに並んだ子どもたちが泣きながらあきらめて帰っていった。ぼくは、もうたまらない。独占している子どもの所に行って、

「そろそろ次の人に替わろうね。」 と、耳元でささやく。

親がじろっとにらむが、関係ない。

「さあ、もう完成だね。次に待っている子がいるから替わってね。」またまた、親がにらむ。

 こうして考えてみると、悪いのは子どもではなく、親だね。親って、大人で社会人で子どもより賢いはずなのに、自分の子どものこととなると、ただのバカになっちゃうのね。

 

 ちょっと疲れてしまって、表彰式を見に出かけた。ぴょん丸さんが、いの一番に表彰されていた。ちば先生に握手をして貰い、ちょっと嬉しそう。抱きついちゃえばいいのに。ぼくならそうしたよ。

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( 憧れのちば先生と握手 )

 2年前、横浜のマンガサミットの時、ちば先生とツーショット写真を撮って頂いた時、半袖の先生と腕を組んだ。その時の肌触りをまだ覚えている。

『この右腕が、あの名作を生んでいるのか。』 と思うと、記念に一本だけポッキンっと折って持ち帰ろうかとも思った。でも、きっと痛いだろうから勘弁してあげたのだ。なぜ肌触りを覚えているのかというと、腕に触れた瞬間父の肌触りにそっくりだったからである。

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( 受賞、おめでしとう )

 

 表彰式も終わって、後は帰るだけだ。ぴょん丸さんと打ち合わせて、別々に会場を出てホテルで会うことにした。

帰りのホテルまで、やはり車で送ってもらった。途中からは電車の方が早いので、地下鉄に乗った。ハドソンの会長と一緒で、いろいろ有意義なお話が聞けたのが嬉しい。

会長とホテルの前で別れ、ぴょん丸さん夫婦と会って、まず、食事をしようと言うことで寿司屋に入った。そこで、これまでの3日間のことをいろいろ話した。

 

 帰りの新幹線は、なんとグリーン車。ゆったりと座って話している内に眠ってしまった。気が付いたら、東京だった・・・・・・。

まるで、駆け抜けてしまったような万博だったけれど、一生の思い出になるだろう。一生って言っても、あと何年かな。

 

 今、この日記を、NHKで中継している万博の閉会式を見ながら書いている。なんとも、不思議な気分だ。

 

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                   おわり