僕が、少年だった頃、「月光仮面」や「まぼろし探偵」・「忍者部隊月光」・「鉄腕アトム」・「鉄人28号」・「宇宙少年ソラン」・「紫電改のタカ」・「ハリスの旋風」・「サブマリン7О7」・・・・・。 僕の周りは、ドキドキするようなマンガの世界であふれていた。 娯楽が少なかった ?・・・・いや、娯楽なんて今の子供たちの何百倍もあったし、遊び上手な 子供たちばかりで、道具なんて無くても遊べたもんですよネ。 そう、僕等はいつでも、自由に空想の世界で、遊べたものです。 そんな楽しいマンガの数々が、"トキワ荘"で描かれていたんですね。 僕が"マンガを描く"って事に出会ったのは、中学一年の時でした。 友達の家にフラッと遊びに行くと、そこでは同級生が二人、マンガを描いていた。 家中、墨汁の臭いがプンプンしていたっけ。 二人が描いていたマンガは、石川球太の「牙王」や、横山光輝の「伊賀の影丸」のマネで、お世辞にもうまいとは思えなかったけど、初めて見る生原稿の迫力に、思わず「すげえ」と 叫んでしまった。そして、そのまま僕も机をならべてマンガを描き始めたんです。 道具なんてありません。白い紙と、割り箸をけずったペンと、定規と墨汁、ただ、それだけでした。 ちなみに、生まれて初めて描いたマンガは、「ガス人間ヘリウムマン」でした。 ヘリウムマンは、悪い科学者が、兵器として作ったロボットでした。 敵国に送られ、いきなり何倍にも膨らみ、自爆するという悲しい運命のロボットです。 そのロボットの中で一体だけ、何故か自我に目覚め、逃げだし、かくまってくれた少女に恋します。 ところが、自分の中の自爆装置をはずすことが出来ず、悩み・苦しみ、このままでは、少女や優しい人間を巻き添えにしてしまうと思い、コッソリと少女の元を去るのです。 ロボットの行き先は、悪い科学者の所でした。 そして、ロボット工場の中で、すべてを破壊するために、科学者もろとも自爆するのです。 ねぇ、先生、どこかで聞いたような・・・見たようなストーリーでしょ ? そう、先生の「ΟΟ9」です。 僕の出発点には、先生がいたのです。 そう、先生の「ΟΟ9」です。 続く |
第三回:「漫画家入門」 |
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