山本氏に、卒業したら 東京に 出ておいでと 言われていた。 卒業しなくたって 上京したかったけど・・・。 父も 母も 許して くれない。 でも、今となっては、本当に 感謝 している。 そして、いよいよ 卒業 ! 卒業式の 翌日には、いても たっても いられずに 僕は 上京した。 ところが、そこに バカタレの 僕の 誤算が あった。 東京へ 行って どうするの ? 住む ところは・・・? 誰の アシスタントに なるの ? お金は あるの ? そう !! な〜〜ンにも 決めずに、バッグひとつで 上京 してしまったのダ ! しかし、僕には 強い 味方が いる。 僕は 小学館の 山本氏を 訪ねた。 山本氏は やさしかった。細い 目を 更に 細くして 「よく 来たネ。」と、言ってくれた。そして・・・ 「それじゃ、行こうか。」・・・と、いきなり 言われた。 どこへ ? そんな 質問も しないで・・・・ 「はい。」・・・・と、答えて タクシ〜に 乗り込んだ。 これから 僕は どうなっちゃうんだろう ? 僕は、どこへ 連れて 行かれるんだろう ? ・・・・不安・・不安、不安・・・でも、もう どうにでも ナレ・・・そんな 事を、ずっと 思っていた。 ※ 余談 __ タクシーの中で 山本氏に・・・・・。 「ゴロちゃん、これから 本気で ガンバッテ 漫画家に なれや。 近頃の 新人は コレくらい 描けんと いかんよ。」と、言われた。 そして、手に 持った 紙袋の 中から、マンガ原稿を 出して 見せてくれた。( コピーだったかも・・・。) その、原稿の 絵は、まだ 素人っぽい ものだった。 タイトルは、『小夜の 縫う ゆかた』短編だった。 「なんだか、スルメみたいだろ ? 噛めば 噛むほど 味が 出る。・・・・彼女には そんな 魅力が あるんだ。 この娘は、きっと すごい 漫画家に なるぞ。」・・・と、べた褒めだった。 でも、本当に そうだった。 読み始めると 次の ペ〜ジが 見たくなる。 そして、最後の ページで、ホロリと 泣けた。・・・・・・これが、新人・・・。 スゴイ !! 僕は、少なからず マンガが うまい と 思っていた。 田舎の プレスリーだ。 僕は、天狗の 鼻を 折られると いうか 自信が グラッと 揺らぐのを 感じた。 こりゃ、本気の本気に なって 勉強しなくちゃ と 思ったのだ。 もちろん、その後、新人だった 「萩尾 望都」は 大漫画家に なった・・・・。 続く |
第十回:「一年目」 |
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