「天才の思いで」




第十一回:「再び・・・」


 僕は、自分の描いた マンガ原稿を持って、 石森先生の 家へ 向かった。 記憶に 間違いは なく、道に 迷わずに 先生の 家へ 着く事が 出来た。 しかし、先生は 僕の 事など覚えていないだろう。 わずか 数分、二年以上も前に 会っただけなのだから。

 以前と 同じ様に 突然 訪問したのだが、運良く 先生も 在宅で、あの 佐々木さんが これまた 前と 同じ様に やさしく 招き入れて くれた。 仕事場に 入ると・・・・あぁ、あの 懐かしい 顔が、背を 丸めて 原稿に ペンを 走らせていた !

 僕は 初めて ここへ 来た様に 装って、マンガを 見て貰った。 ところが・・・・・、

「お前、前に 来たろ。 坊主頭の 真っ黒な 高校生だったな。」

   ガ〜〜〜〜ン !!

感激だった ! 先生が 僕を覚えていて下さった ! そんな 気持ちが、その時の僕を突 っ走らせた。

「先生、アシスタントに して下さい !」 ( バカだ、自分は 何て バカなんだ。 二人の 先生の アシスタントを どうして やれるのか ! )

しかし、そんな 事を 考える様な 余裕は なかった。・・・と、いうより、何とも 簡単に・・・・

「ああ、いいよ。」と、先生に 言われて しまったのだ。

何だか めちゃくちゃだけれど、 うれしい !

うれしいけど・・・・、これから どうする ?

                            続く




 第十二回:「渡りアシスタント」


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